今回は、アメリカの消費者がすでに消費意欲を失っていることが、企業の決算によって顕在化したことを紹介します。
先週あたりから、アメリカの経済がスタグフレーションに陥ったのではないか?と騒がれ始めましたが、実体はかなり深刻なようです。以前に、アメリカ経済がスタグフレーションに陥ったことを記事にしましたが、おそらくそれよりも前の段階でスタグフレーションに陥っていた可能性が高いです。
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マクドナルド、スターバックスの決算
日本でも馴染み深いマクドナルドとスターバックスですが、本社はアメリカにあります。その決算発表が行われたのですが、どちらの企業も売上高・EPSが予想を下回っており、厳しい結果となりました。
また、次の四半期に向けてのガイダンスも良くないため、これらの企業には厳しい時期に差し掛かっているのかもしれません。
この辺りの企業は、一般消費者からリーズナブルな価格で親しまれている企業ですが、決算が落ち込んでいるということはアメリカの一般消費者がマクドナルドやスターバックスで購入していないということになります。日本であれば、コロナなどの一時的な要因で消費が落ち込むことはありますが、基本的に成長をし続けています。一体、アメリカの消費者に何が起こっているのでしょうか?
継続的な貯蓄率の低下
コロナ禍の救済措置として、アメリカは給付金をバラまきました。その影響により、一時的に貯蓄率が向上していたのですが、副作用としてインフレが急激に上昇しています。今も、そのインフレを抑えるために高い金利を維持し続けています。インフレが一定以上に高まってしまうと、生活するうえでの物価が上昇してしまい、これまでのように貯蓄をすることができません。そのため、今のアメリカ人の貯蓄率は10年間で過去最低の水準まで落ち込んでいます。
このように、アメリカではすでに貯金を切り崩して生活している人達が、多く存在しているのだろうと推測できます。これでは、マクドナルドやスターバックスに足を運んで食事をすることも難しいでしょう。
この貯蓄率の低下が、決算の裏付けとなる一つのデータです。
クレジットローンも組めなくなっている消費者達
消費者達の貯蓄が失われていることは、上記のデータから参照することができました。ただ、貯蓄がなくなったとしても生きていくためには消費をせざるを得ませんから、借金をすることになります。その借金の中でも一般的なのが、クレジットカードのリボルビング払いなどです。
上記のグラフを見てもらうと、最新のデータでは借金ができなくなっていることがわかります。これは、借金に頼らずとも生活していけるような経済環境ではなく、借金を借金で借り換えすることができなくなったため、これ以上リボルビング払いは使えませんよという状態に陥っています。
つまり、借金に対する返済能力が失われたということです。
これは、後々大きな問題になって顕在化することになります。過去には、リーマンショックなどの金融危機が発生しましたが、サブプライムローンという借金を返済能力の無い人達にまで貸し付けていたため、お金を回収することが出来なくなり金融システムが行き詰ったということがありました。
今回は、サブプライムローンのような住宅資金ではなく、一般消費者が生活をするための生活資金を借金で賄っているという状況です。住宅と違い、生活資金を借金で賄っているわけですから事態は深刻です。
まとめ
一般消費が落ち込むというのは、住宅需要などが落ち込むことと違って大きな意味を持ちます。それだけ、一般人が生活に苦しんでいるということです。
このようなアメリカ経済が、リセッションに陥ることなくソフトランディングを達成し、今まで通りの強いアメリカを維持できるのでしょうか?
引き続き、長期分散投資を心がけながら、景気後退などのタイミングに合わせて個別株投資を行えるように、資金管理をしっかりと行っていきたいですね。
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