イスラエルとイランの報復攻撃が始まり、お互いに歯止めが効かなくなりそうな雰囲気を醸し出している中東情勢ですが、もしこのまま中東の戦争が始まってしまうと経済や株価にどのような影響を与えるのか?を考察してみたいと思います。
結論から言いますと間違いなく経済には悪影響を与え、アメリカのリセッションは避けられず、日本も一時的な株価や不動産の暴落に直面すると思います。その理由について、説明します。
まず、現在位置の再確認からです。アメリカは、現在落ち着かないインフレに悩まされており、高い金利を維持しなければインフレを抑え込むことができない状態になっています。インフレを放置しておけば、それこそお金の価値が無くなってしまうハイパーインフレになってしまうので何とかしてインフレを落ち着けないといけません。
しかし、高金利を維持することも経済へのダメージが大きくなります。これまでのアメリカの経済は、人々が借金をすることによって本来は存在しなかったお金を使えるようになり、経済が成長してきました。ただ、借金には金利を付けて返済しないといけないため、現在のような高金利になってしまうと借金の返済もままならない状況になってくるでしょう。そうなると、不動産などを投げ売ってでも借金返済のための現金を確保しようとなります。商業用不動産などで、その傾向がすでに見られています。
このような状態になっても、いまだに高金利を維持しなければインフレが再燃してしまうかもしれないので、アメリカ経済の脆弱性が理解できます。今は、金利を下げることもなく上げることもなく現状を維持することが求められるのですが、そこでイスラエルとイランの問題が勃発し始めています。
中東の問題が勃発すると間違いなく原油価格に影響がでます。ただ、アメリカは原油を自給自足できるため、アメリカ国内の原油価格に直接的な影響はそこまで出ないと思います。しかし、問題は日本などのエネルギーを自給できない国です。間違いなく日本の原油価格は高騰します。それも、今は円安が進んでいるため、円建ての原油価格は今まで以上に高騰することになるでしょう。
そうなると、円安を是正することで少しでも輸入価格を抑えようと日銀による為替介入もあり得るでしょう。その場合の原資は、アメリカの国債を売ってドルを手に入れ、手に入れたドルを売って円を買うことで為替介入を行います。
債券と金利はシーソーの関係にあるため、米国債が売られて価格が下がると金利が上昇してしまうかもしれません。そのため、アメリカは各国のバランスを見ながら現在の金利水準を維持することができるのか?ここが焦点となります。日本のように、アメリカの言いなりになる国は為替介入をさせないように言うことを聞かせることもできるでしょうが、素直にアメリカの言うことを聞く国はほぼないでしょう。そうなった場合、アメリカと世界各国の関係も不安定になってくるかもしれません。
要するに、アメリカは今まで日本などの同盟国に債券を購入させることで、自国の経済を発展させてきましたが、その副作用がいよいよ発生する局面に差し掛かっていると言えます。他国に債券を購入してもらうということは、生殺与奪の権を他国に握らせているようなものです。仮に、日本政府がアメリカ国債を売りに出そうかな~と言い出したら、アメリカは武力を行使してでも止めさせるでしょう。この辺りの視点は、橋本さんのツイートから学びを得ました。
このまま金利の水準を維持してもリセッションは避けられないでしょうし、金利の水準を維持することがそもそも難しい局面に変わってきているので、アメリカ経済は詰んでいると言っても過言ではないでしょう。このまま、アメリカの没落を眺めながら日本や世界各国への分散投資を続けることが大事です。
新NISAでは、S&P500に投資している方が多いかと思いますが、自分は「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」と「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」を積み立てています。今の世界情勢で、アメリカが優勢なまま今後30年も続くとは思えませんからね。取り崩すタイミングを測らって投資先を選択しておくことが大事です。
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