こんにちは、くろいずです。
毎週土曜日に更新する、投資に関わる経済ニュースをお届けします。
1週間内に発表された経済指標などを定期的にウォッチし、今後の経済動向について解説します。
※投資を推奨する記事ではございません。投資は自己責任・自己判断のもとよろしくお願いします。
2024年11月4日~2024年11月8日の経済情報
2024年11月 ISM景気指数が発表!
- 製造業景況指数(Manufacturing Purchasing Managers’ Index, PMI): 製造業の生産活動、新規受注、在庫、雇用などの項目について調査し、それらの指標を総合的に評価したものです。PMIは、50を基準として、50以上で景況の改善を示し、50以下で景況の悪化を示します。
- 非製造業景況指数(Non-Manufacturing Purchasing Managers’ Index, NMI): 非製造業(サービス業、建設業など)の新規受注、ビジネス活動、雇用、在庫などの項目について調査し、それらの指標を総合的に評価したものです。NMIも、50を基準として、50以上で景況の改善を示し、50以下で景況の悪化を示します。
ISM景気指数 | 今回(10月) | 市場予想(10月) | 前回(9月) |
---|---|---|---|
製造業 | 46.5 | 47.6 | 47.2 |
非製造業 | 56.0 | 53.8 | 54.9 |
今回のISM景気指数も製造業は悪化し、非製造業は好調という結果になりました。少し前の記事でも紹介しましたが、製造業が強いことは自国の経済にとって重要です。国の経済が発展するまでに、製造業が活性化→非製造業も活性化という動きをとります。これは、バラッサ・サミュエルソン効果という経済学の理論にも提唱されている通りです。
↓現代の製造業についての考えかたをまとめた記事
上記の記事でも取り上げていますが、現在はIT産業が経済をリードしていると言っても過言ではないほどに成長しました。そこで、IT産業のプラットフォームが提供しているサービスなどは、完全に製造業とは言えないので、非製造業に分類されているものもあります。(例えば、iOSユーザーに提供しているiCloudなど。)これらを加味すると、少し前に言われてたいわゆるサービス業の非製造業が強いというわけではなさそうです。
「労働生産性は高まっている」の罠
また、今回のISM景気指数の内訳は、それぞれ以下の通りです。
製造業内訳 | 今回(10月) | 前回(9月) |
---|---|---|
新規受注 | 47.1 | 46.1 |
雇用 | 44.4 | 43.9 |
非製造業内訳 | 今回(10月) | 前回(9月) |
---|---|---|
事業活動・生産 | 57.2 | 59.9 |
新規受注 | 57.4 | 59.4 |
雇用 | 53.0 | 48.1 |
非製造業は辛うじてプラスですが、どちらも雇用が強くありません。これでは、少ない人数で生産性を高めて事業を継続せざるを得ないことでしょう。
その証拠に労働生産性を表すチャートは、直近で跳ね上がっています。それほど、少ない人数でこれまでと同じ仕事量をさばかないといけない状況に陥っているのでしょう。生産性が高いということは、少人数で膨大な仕事量をさばくということですから、雇用が縮小している現状の経済状況下では必ずしも景気が良い状態とは言えません。どちらかというと、リストラが進んでも残った人間でしっかりと現場を回さないといけない状況を押し付けられているのだと思います。雇用が拡大し、景気が良い状態での生産性が高まる場合は、本当に強い経済状況だと言えます。
これらのことを踏まえると、やはり製造業がここ数年レベルで縮小していることが気になります。当ブログではISM景気指数を毎月取り上げていますが、コロナ以降縮小している傾向にあります。製造業が縮小しても、非製造業だけで好景気を維持できるほど経済は単純ではありません。まだまだ安心できる水準に景気が戻っていないと予想します。
2024年11月 FOMCが開催!
雇用統計が異常に強かった10月の発表、そして異常に弱くなった11月の発表を受けてFOMCは経済指標を頼りに金融政策を決めることができない状況だろうと思います。ただ、今回のFOMCでは25bpの利下げを発表しました。
↓10月発表の雇用統計
↓11月発表の雇用統計
FRBが利下げを行うということは、おそらくアメリカの経済状況は悪い状態になっているのだろうと推測します。これまで、インフレ率を目標としている2%に下げるため、急激な利下げと長期間の高金利を維持してきましたが、ここでアメリカ経済も息切れになり、経済の歪みが大きくなり、企業が雇用を維持できなくなり、人々が生活できなくなっているというひどい状態に晒されています。
↓アメリカの実体経済は危険な兆候
これから、半年~1年ほどはFRBは利下げをし続けると思いますが、「利下げ=株は買い」と判断するのは危険です。なぜなら、実体経済が非常に落ち込んでいるから利下げをするわけで、どこまで落ちていくかわからない状態でポジションを高めるのは無謀です。一度、落ち切ってから回復が始まったぐらいのタイミングで、大きく投資をするのが一番利益になる投資方法です。そこまでは、月々の積み立て投資を継続しつつ、余剰資金はキャッシュ待機を貫きます。
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