過去最長の逆イールドが解消―――――――
アメリカの金利上昇に伴い、10年国債利回りと2年国債利回りの逆イールドが発生していましたが、9月のFOMCにて利下げが行われるだろうとの市場の予測から、2年債の利回りが低下し逆イールドがついに解消されました。
一般的に逆イールドは、市場に出回るお金を制限し、お金が引き上げられる状態になります。通常の純イールドであれば、市場にお金が出回り、銀行などの融資を通じて事業拡大を行うなど経済活動が活発になります。
そして、今回発生していた逆イールドは、過去最長の期間にわたって発生していたため、これからアメリカ経済にその影響が現れると思います。過去の例を見ると逆イールドが解消された後、半年〜1年後にリセッション入りとなっています。
また、過去の逆イールド解消後の動きを見ると、グレーのエリアで示されているリセッションに入っていることと、政策金利の急激な下落が見られます。今回は、まだ逆イールドが解消された状態ですので、これから政策金利が下落してくるとともにリセッション入りするだろうと、過去の例から予想できます。
リセッションの予兆は雇用に現る―――――――
逆イールドが経済に与える影響と、今後の予想については過去の例から確認しました。ただ、それだけでは机上の空論に過ぎないため、実体経済がどれほど傷んでいるのか?を雇用の観点から確認します。
まず失業率ですが、現在は底値から上昇の一途を辿っており、急激に上昇することが予想されます。また、サームルールと呼ばれる失業率の値を計算し、今後のリセッションを予想するという指標がありますが、そちらも発動しました。
さらに、労働者の平均時給ですが、直近2年間の推移を見ると明確に下落トレンドにあります。
昨日の雇用統計の記事でも触れましたが、景気が悪化する時の企業の動きを考えてみると、平均時給の下落は必ず発生します。
- 企業の売上が立たず、資金繰りが厳しい
- 従業員の残業時間や給料をカットする(平均時給の下落)
- それでも足りない場合、従業員をリストラする(失業率の上昇)
また、企業の売上が下がるということは、物価が下がる必要があります。単価の安いものしか売れなくなると、必然的に企業の売上も下がることになります。
上記のアメリカコアCPIですが、急激に下落していることがわかります。この下落に合わせて、企業の売り上げも低下し、従業員の平均時給も下落し、失業率は上昇するというわけです。
これらのストーリーは、全てコロナ対策で市場にお金をばら撒いたことによる副作用のようなものです。日本もコロナ給付金としてばら撒きましたが、当時の安倍政権時代では高橋洋一さんが計算された結果に基づいた金額をばら撒いたため、日本ではアメリカや欧州のようなインフレ率が7%も上昇するような事態にはなりませんでした。しかし、アメリカのバイデン政権では日本の倍以上の金額をばら撒き、市場のインフレ率がとんでもないことになってしまったため、政策金利を5%以上に引き上げなければならないという現在に至っています。
今は、その副作用としての逆イールドをようやく解消できたところですが、今後も経済が悪化していくことは間違い無いでしょう。少なくとも、よくなることはありません。
これからも、データを定量的に観測し、今後の景気動向を探るべく注意して見ておきましょう。
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