【各経済指標の性質】今後のリセッションに向けて、アメリカ経済の現在位置を確認

週刊投資経済
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こんにちは、くろいずです。

毎週土曜日に更新する、投資に関わる経済ニュースをお届けします。
1週間内に発表された経済指標などを定期的にウォッチし、今後の経済動向について解説します。

※投資を推奨する記事ではございません。投資は自己責任・自己判断のもとよろしくお願いします。

2024年8月26日~2024年8月30日の経済情報

2024年4-6月期 米GDP改定値が発表!

GDP改定値(Revised GDP)は、初期のGDP速報値が後に修正されたもので、より正確で最終的な推計を反映しています。通常、経済統計機関はGDPデータを公表する際、初期の見積もり(速報値)を発表し、その後に改定が行われます。これは、完全な経済データが利用可能になり、さまざまな修正が行われたためです。

  1. 正確性の向上: GDP速報値は初期の見積もりであり、その時点ではすべてのデータが揃っていないことが一般的です。GDP改定値は、新しいデータが利用可能になり、経済の各セクターに関する情報がより精密になった結果、より正確で詳細な見積もりを提供します。
  2. 市場への影響: GDP改定値が速報値と比較して大きく変わる場合、これは金融市場に影響を与える可能性があります。投資家や市場参加者は改定データを注視し、それに基づいて市場予測を調整することがあります。
  3. 政策の調整: 中央銀行や政府は、GDPの最終的な改定値を考慮に入れて、経済政策や金融政策を調整することがあります。特に経済の健康状態や成長率の正確な把握は、適切な政策判断にとって重要です。
  4. 長期的な分析: 経済学者や政策立案者は、GDPの改定データを使用して長期的な経済動向を分析します。これにより、過去の経済のパフォーマンスを正確に理解し、将来の予測に役立てることができます。
改定今回市場予想前回
GDP+3.0%+2.8%+1.4%

今回の発表では、前回のGDP速報値よりも値が情報修正されており、景気が好調であることを示しております。

↓GDP速報値が発表された時の記事

このまま、アメリカの経済が数値で裏付けされたものになると、FRBとしても利下げを行いやすくなるでしょう。また、市場ではこれらの経済指標を見て、利下げが行われるだろうとの観測が進んでおり、2年金利と10年金利の逆イールドは解消されつつあります。

ここで注意しておきたいのは、このままアメリカの経済指標が好調で景気が良いとされる発表が行われたとしても、逆イールドの解消後~1年ほどはリセッションが発生する可能性が高いということです。過去の例を見ても、青線が黒線を上回った時(逆イールドの解消)はグレーのリセッション期間に突入しています。

↓逆イールドについて解説記事

そして、恐ろしいことに今回発生している逆イールドは、過去のどの逆イールドよりも長期間発生しているという点です。逆イールドの期間が長期にわたるということは、それだけ市場にマネーの供給がストップし、逆にマネーを吸い上げているということです。

この副作用として、現在のアメリカでは失業率が上昇し始めています。マネーの供給を止めると、企業が設備投資や新規事業を立ち上げる際に融資を受けづらくなり、経済活動が停滞していきます。その対応策として、これから利下げが行われるわけです。

今回の利下げでは、株価にプラスの影響を与えるのではなく、経済のマイナスを解消するための利下げですので、逆イールドが解消されてから数ヶ月後にリセッションへと陥るわけです。

GDPの結果が良かったとしても、今のアメリカに積極的な投資を行うのは控えたほうが良いように感じます。これからも、経済の現在位置を認識しながら、経済指標が表す意味を正しく捉えて投資のアクセルとブレーキを正しく使い分けましょう。

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2024年8月 PCEデフレーターが発表!

個人消費支出(Personal Consumption Expenditures, PCE):これは、アメリカの世帯や個人が購入する商品やサービスにかかる支出を示す指標です。これには食料、住居費、医療費、交通費、エンターテインメント費などが含まれます。個人消費支出はアメリカのGDP(国内総生産)の大部分を占めるため、その変動は経済全体の動向に大きな影響を与えます。
PCEデフレーター:個人消費支出の物価変動を示すための指標で、消費者が支出する商品やサービスの価格変動を追跡します。これにより、消費者物価の変動を測定し、インフレーション(物価上昇)やデフレーション(物価下落)の兆候を検出するのに役立ちます。

前年比今回(7月)市場予想(7月)前回(6月)
PCE+2.5%+2.6%+2.5%
コアPCE+2.6%+2.7%+2.6%

結果から見ると、市場予想より若干下振れるほどとなっており、値としても2%に向けて落ち着きつつあります。今回のPCEデフレーターからは、インフレの鈍化と景気の堅調さという印象を受けます。

当ブログでは、経済指標を複数取り上げていますが、今のところ以下のような認識です。

経済指標方向性
雇用統計
(主に失業率)
CPI
PCE
ISM
GDP

先行性のある、雇用統計とISM景気指数は下向きであり、CPIとPCEは横ばい、そして遅効性のあるGDPは上向きという感じです。これらから読み解けることは、アメリカの景気はすでにピークアウトし、これから下落に向かうのではないか?と想定できます。

当ブログでは、このように複数の重要と思われる経済指標を取り扱っており、それぞれが持つ意味合いを理解し、俯瞰的に経済を見ることができるように各指標を取り上げています。複数の経済指標を確認することで、経済の現在位置を捉えることが重要だと考えております。

また、経済指標だけではなく、政治のイベントにも注意が必要です。このまま時間が経てば、アメリカの景気は間違いなく落ち込みますが、今年は大統領選挙が11月に行われます。それまでに、経済が崩壊するようなことがあれば、現与党である民主党は勝つことができないため、何が何でも景気の好調さを延命する措置を取るでしょう。

経済の指標と政治のイベントの両方を捉えつつ、投資と向き合うことで大きなイベントを取り逃がさないように対応しましょう。今後の大きなイベントは、以前からお伝えしている通りアメリカのリセッションです。そのイベントを取り逃さないためには、現金が必要です。

ですので、これまで通り現金を待機させつつ、積立投資はどんなイベントが発生しても継続するというスタイルを貫きます。今後のリセッションに向けて、期待を寄せつつ注意深く経済指標の観測を続けます。

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