【景気後退のリスクと投資戦略】アメリカのISM景気指数と雇用統計発表

週刊投資経済
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こんにちは、くろいずです。

毎週土曜日に更新する、投資に関わる経済ニュースをお届けします。
1週間内に発表された経済指標などを定期的にウォッチし、今後の経済動向について解説します。

※投資を推奨する記事ではございません。投資は自己責任・自己判断のもとよろしくお願いします。

2024年6月3日~2024年6月7日の経済情報

2024年6月 ISM景気指数が発表!

年内利下げが何回行われるか?という、利下げシナリオへと徐々に移行してきたアメリカ経済の強さを測る重要な指数が発表されました。ISM景気指数は先月の発表が弱すぎたため、今月の発表も弱くなるといよいよ景気後退まで秒読みとなりそうです。

  1. 製造業景況指数(Manufacturing Purchasing Managers’ Index, PMI): 製造業の生産活動、新規受注、在庫、雇用などの項目について調査し、それらの指標を総合的に評価したものです。PMIは、50を基準として、50以上で景況の改善を示し、50以下で景況の悪化を示します。
  2. 非製造業景況指数(Non-Manufacturing Purchasing Managers’ Index, NMI): 非製造業(サービス業、建設業など)の新規受注、ビジネス活動、雇用、在庫などの項目について調査し、それらの指標を総合的に評価したものです。NMIも、50を基準として、50以上で景況の改善を示し、50以下で景況の悪化を示します。
ISM景気指数今回(5月)市場予想(5月)前回(4月)
製造業48.749.649.2
非製造業53.851.049.4

製造業はドル高の影響もあって相変わらず50を下回る値で推移していますが、非製造業に関しては先月から比べても急な反発を見せています。このまま景気後退へと入ることなく、順調に回復していくのでしょうか?

ただ、先週の記事にて記載していますが、アメリカの一般消費者はすでに貯蓄が底を尽きかけており、購買力が失われつつあります。そんな中でも、インフレ率は高止まりしているため今後の個人消費は鈍化していく傾向になるでしょう。そうなってくると、非製造業などのサービス業も50を下回ってくるのではないでしょうか。

先週の記事

今のアメリカ金利は、依然として逆イールドを継続しており、このまま利下げが行わなければ市場からお金が引き上げられることになります。そうなると、自ずとISM景気指数やCPI、PCEデフレーターなどの経済指標が軒並み落ち込んでくることになります。

ISM景気指数だけを見て、利下げのタイミングを引き延ばすことはないと思いますが、このまま利下げが行われなければいずれ経済はクラッシュすることになります。そのための口実として、ISM景気指数などの指標が使われているのだと思いますが、ISM景気指数が悪くなってから利下げではすでに遅いでしょう。

ただ、今の金融政策ではビハインド・ザ・カーブで運営されているため、景気が悪くなってから手を打つということになります。つまり、確実に景気悪化は免れないことになります。

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2024年6月 雇用統計が発表!

先月の雇用統計では、これまでと違い市場予想を下回る結果になっており、景気が思ったより悪い状態なのではないか?という観測からこれから利下げが行われるだろうと市場のセンチメントが動きました。今回の雇用統計でも結果が悪ければ、いよいよ利下げが始まることになるでしょう。

  1. 労働力参加率(Labor Force Participation Rate): 労働力参加率は、ある国や地域において、労働可能な人々が労働市場に参加している割合を示します。就業者や求職者の人数を労働力として計算し、総人口に対する割合として表されます。
  2. 失業率(Unemployment Rate): 失業率は、労働市場において仕事を求めているが見つからず、かつ積極的に求職している人々の割合を示します。一般的に、失業率が低くなると、労働市場が健全であることを示し、経済の好調を反映する指標とされています。
  3. 雇用創出数(Employment Creation): 雇用創出数は、ある期間(通常は月次または四半期)における新たに創出された雇用の数を示します。これは、新たな雇用契約や雇用拡大によって生まれた雇用機会の数を指します。
雇用統計今回(5月)市場予想(5月)前回(4月)
雇用者数27.2万人18.5万人16.5万人
修正前:17.5万人
失業率4.0%3.9%3.9%
平均時給4.1%3.9%4.0%
労働参加率62.5%62.7%

結果は、相変わらず強い雇用を表すようなものとなっています。しかし、雇用統計の信憑性が失われていることは、過去の記事でも紹介していますので、今更信用することもないでしょう。

雇用統計の嘘について記載した記事

しかし、今回注目したい点は失業率が増加しているという点です。失業率が底を尽き、ここから上昇に転じる転換点となったかもしれません。

過去のデータを見ても、失業率が上昇し始めると一気に増加する傾向にあり、どのタイミングもリセッションへ陥っています。そして、今回も失業率がだんだんと上昇に転じていることがわかります。

失業率を低下させるためには、利下げをして経済を刺激する必要がありますが、今のアメリカは高止まりしている物価高の影響で利下げに踏み切ることができません。また、今回の雇用統計の発表も失業率を見ると雰囲気が変わったように感じますが、雇用者数自体は強い値を出しているため、利下げへ踏み切る口実として使うには不十分な結果でしょう。

市場は、雇用統計の雇用者数を見て年内の利下げは1回だろうと予想を変えています。当ブログの見解としても、利下げは年内1回ぐらいだろうと思っています。ただ、この高い水準の金利でこれからも景気を止めようとすると、本格的に失業率の上昇が始まるでしょう。

そもそも、雇用統計の値に公務員の雇用やダブルワーカーの二重カウントなどを含んでいるのがおかしいのです。正社員の雇用のみをカウントすると、とてつもなく減少していることがわかります。

このまま雇用統計の嘘の値に騙されて、金融政策が変更されないとなると、アメリカ経済はリセッションへ陥るでしょう。そうなると、米国株も大幅に下落することは間違いありません。

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