【マイナス金利解除】日銀とFRBの物価上昇に対する金融政策の違い

週刊投資経済
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こんにちは、くろいずです。

毎週土曜日に更新する、投資に関わる経済ニュースをお届けします。
1週間内に発表された経済指標などを定期的にウォッチし、今後の経済動向について解説します。

※投資を推奨する記事ではございません。投資は自己責任・自己判断のもとよろしくお願いします。

2024年3月18日~2024年3月22日の経済情報

2024年3月 日銀金融政策決定会合が開催!

これまで、物価上昇率が2%を維持できないとして金融緩和を続けてきた日銀ですが、今回の金融政策決定会合で大きな方向転換がありました。

それは、イールドカーブ・コントロール及びマイナス金利の解除です。

これまでの金融政策を方向転換するには大きなリスクが伴いますが、このタイミングで踏み切ったようです。この方向転換が正しいのか?は、現時点では判断できませんが今後の日本経済が答えを出してくれることでしょう。

植田日銀総裁の主な発言

  • 2%の物価上昇が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った。
  • しかし、現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面は緩和的な金融環境が継続する。
  • これまでと同程度の国債買い入れを継続し、さらに長期金利が急激に上昇する場合は機動的に買い入れオペの増額などを実施する。
  • 金利水準は市場が決めるが、急激な上昇などが発生すると機動的なオペを打つことは担保しておく。
  • 大規模緩和の終了後は、バランスシートの縮小を視野に入れる。

今回の発言を見ると、単にマイナス金利を解除したかっただけなのではないか?と思いました。現在の経済状況では、2%の目標達成が見通せるがまだまだ緩和が必要と考えているのであれば、おそらく金利はアメリカのように3%も4%も上がっていくことはないでしょう。1%まで上げられないかもしれません。そして、金利の水準も市場が決めることだと言っておきながら、国債の買い入れは継続し、機動的なオペも行うと言っています。

結果として、「マイナス金利は解除するが、それ以外については何も変わらない」と言っているようなものです。つまり、今回の金融政策決定会合ではマイナス金利を解除しただけで、金利が上昇するわけではないと思われます。

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2024年3月 FOMCが開催!

ここ最近のアメリカの経済指標は強い結果しか発表されず、その後下方修正されることを繰り返しています。修正後の結果が正しいのであれば、景気はかなり弱っているため利下げが求められるはずです。今回のFOMCでは、これまでの答え合わせとこれからの経済動向の鍵となるでしょう。

そして、今回のFOMCでは金利据え置きとなりました。

今すぐに利下げを行うと、節操がないと思われてしまうから少し見送るという判断ですかね?笑

パウエル議長の主な発言

  • 年内のいずれかの時点で利下げに踏み切る可能性が高い。
  • 必要に応じ、高水準の金利を長期間維持する。
  • 利下げに踏み切る前に、インフレが持続的に鈍化している確信を強める必要がある。
  • バランスシートについては、早い時期に縮小していくことになる。
  • インフレを2%に低下させることへ強くコミットする。
  • 労働市場の大幅な軟化は、利下げ開始の理由になり得る。
  • 力強い雇用自体は、利下げを見送る理由にならない。
  • 力強い雇用の伸びは、インフレを懸念する理由ではない。

今回の利下げを見送る大きな目的は、時間稼ぎでしょう。本来であれば、すぐにでも利下げしたい局面だろうと思いますが、「これから利下げはじまりますよ!」という掛け声を入れることで、FOMC一回分の時間を稼ぐことができます。なぜなら、市場はこれからの経済を先に織り込むように動くからです。また、実際に動かずにこれからの金融政策を先出しすることで、市場がどのように動くのか?を見てから意思決定することもできます。

また、利下げをすることでインフレが再燃するリスクも考慮しなければなりません。アメリカの金融政策では、インフレが2%ほどの水準になるように抑え込むことを目標としているので、現在のインフレ率からみるとまだまだ引き締めが足りないようにも思えます。
※現在のインフレ率は以下の記事にて記載

しかし、経済は確実に弱っており雇用統計などもダブルワーカーや移民を受け入れて働かせることで水増ししていることが判明しています。この辺りが、パウエル議長の発言にもあるように「労働市場が軟化すると危ないけど、雇用の力強さは関係ない」とされています。この発言が、雇用統計の信憑性の無さを裏付けていると言えるでしょう。

何にせよ、今のアメリカは経済を強いように見せたいけど実際はそれほど強いわけではなく、その見せかけを維持するために金融政策や経済指標を利用しています。このツケはいつか必ず爆発しますし、これから新NISAでS&P500一本投資などは非常に危険な行為だと思います。(特に投資初心者は値動きに慣れていないため)

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2024年3月 日本のCPIが発表!

前回の記事にて、日本はGDPがマイナスになってしまったが、物価が上昇しているというスタグフレーションの状態に陥ったと紹介しました。

今週の日銀会合では、マイナス金利を解除に向かう動きを見せていることから、利上げへと舵が切られつつあります。

中央銀行が利上げを行うほど物価は上昇しているのか?今月のCPIを見ていきましょう。

CPIとは、一定の基準年度を基準として、その年度における一般消費者の物価水準を100とし、それ以降の年度での物価の変動を比較します。具体的には、一定のカテゴリー(食料品、住宅、交通費など)の代表的な商品とサービスの価格を調査し、それらの重み付けを行って指数を算出します。
CPIは通常、インフレーション(物価上昇)やデフレーション(物価下落)の指標として使用されます。インフレ率は、異なる期間でのCPIの変動を通じて計算されます。

前年同月比今回(2月)市場予想(2月)前回(1月)
CPI+2.8%+2.9%+2.2%
コアCPI
(生鮮食品を除く)
+2.8%+2.8%+2.0%
コアコアCPI
(生鮮食品及びエネルギーを除く)
+3.2%+3.3%+3.5%

結果は、市場予想より少し弱含んでいるような印象を受けます。

生鮮食品を除いたコアCPI指数と総合のCPI指数が一致していることから、食料品の価格上昇は一旦落ち着きを見せているのかなと思います。ただ、CPIとコアCPIの数値を見ると先月の値より上昇していることがわかります。

日銀のインフレ目標は2%の水準を目指しているので、今回のCPI予想に基づいて利上げへと舵を切り始めたことは正しかったのかもしれません。そして、物価上昇の要因としてドル円の為替レートが大きく影響していることから、日銀は利上げを行い日本の金利と世界各国の金利の差を縮め、円安から円高へとシフトしていくことが求められます。

このタイミングの利上げが適切なのか?については、疑問が残ります。アメリカなどは、ビハインド・ザ・カーブといって物価上昇が2%を大きく超えてから利上げを行います。これは、経済の成長に水を差したくないという思惑があるので、わざと利上げを遅らせるという考え方です。

この考え方に基づくと、今の日本の物価上昇率では利上げを行わないことが正しいと言えます。しかし、ビハインド・ザ・カーブを行ったアメリカを見ると物価上昇に手が付けられなくなり、2022年に過去に前例が無いペースで利上げを行いました。その結果、地銀などが破綻しBTFPなどという本来必要のなかった支出が求められます。そして、現在のアメリカは経済の引き締めにより商業用不動産の市況が崩壊しており、3月11日にBTFPが終了したため商業用不動産ローンを抱えている地銀が破綻するだろうとFRBも予測しています。

このようなアメリカの経緯を見ると、ビハインド・ザ・カーブではなくアヘッド・オブ・ザ・カーブという先手先手で動く金融政策がよいのかもしれません。今のタイミングで日銀のマイナス金利解除へ動く金融政策は、アヘッド・オブ・ザ・カーブに基づく動き方です。インフレが行き過ぎないように事前に芽を摘んでおくわけです。ただ、こちらも日本の過去30年のデフレ状況を見ると、やりすぎは禁物です。

つまり、ビハインド・ザ・カーブで利上げを遅らせるとインフレが抑制できなくなり、アヘッド・オブ・ザ・カーブで早めに利上げをしすぎるとデフレに陥り経済が伸びません。今回の日銀の舵取りがタイミング的に正しいのか?は、これからの日本経済が答え合わせをしてくれるでしょう。当ブログの考えとしては、このタイミングでのマイナス金利解除は正しいように思います。

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