【アメリカ経済の現状分析】最新GDPと個人消費データから見える景気後退

週刊投資経済
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こんにちは、くろいずです。

毎週土曜日に更新する、投資に関わる経済ニュースをお届けします。
1週間内に発表された経済指標などを定期的にウォッチし、今後の経済動向について解説します。

※投資を推奨する記事ではございません。投資は自己責任・自己判断のもとよろしくお願いします。

2024年5月27日~2024年5月31日の経済情報

2024年1-3月期 米GDP改定値が発表!

最近になって、個人消費にも陰りが見えてきたアメリカ経済ですが、2024年の1-3月期のGDP改定値の発表がありました。このタイミングでは、まだカードローンを使って個人消費も強含んでいたタイミングだと思われますので、そこまで悪い値にはならずに景気の強さを感じさせる結果となりそうです。

GDP改定値(Revised GDP)は、初期のGDP速報値が後に修正されたもので、より正確で最終的な推計を反映しています。通常、経済統計機関はGDPデータを公表する際、初期の見積もり(速報値)を発表し、その後に改定が行われます。これは、完全な経済データが利用可能になり、さまざまな修正が行われたためです。

  1. 正確性の向上: GDP速報値は初期の見積もりであり、その時点ではすべてのデータが揃っていないことが一般的です。GDP改定値は、新しいデータが利用可能になり、経済の各セクターに関する情報がより精密になった結果、より正確で詳細な見積もりを提供します。
  2. 市場への影響: GDP改定値が速報値と比較して大きく変わる場合、これは金融市場に影響を与える可能性があります。投資家や市場参加者は改定データを注視し、それに基づいて市場予測を調整することがあります。
  3. 政策の調整: 中央銀行や政府は、GDPの最終的な改定値を考慮に入れて、経済政策や金融政策を調整することがあります。特に経済の健康状態や成長率の正確な把握は、適切な政策判断にとって重要です。
  4. 長期的な分析: 経済学者や政策立案者は、GDPの改定データを使用して長期的な経済動向を分析します。これにより、過去の経済のパフォーマンスを正確に理解し、将来の予測に役立てることができます。
改定今回市場予想10-12月期
実質GDP+1.3%+1.6%+3.4%
個人消費+2.0%+2.5%+3.3%

結果は、どちらも市場予想を上回ることなく意外にもマイナスになっています。個人消費も落ち込みつつある中で、現在のアメリカの状況を見るとやはり小売り店や飲食の決算があまりよくない状況です。

※以下の記事にて紹介しています。

こちらのポストでは、岡崎良介さんにより市況解説をまとめたものになります。明らかに一部の企業が脱落をし始めており、市場全体のバランスが保てなくなってきています。

これからアメリカの景気がどんどん悪くなっていくような、不安を感じるGDPの結果となりました。当ブログでは、以前からアメリカのリセッションは避けられないだろうというスタンスで市場を見ていますので、このまま予想通り景気後退へと進む一歩手前のタイミングなのかなとも思います。

今は、米国株もほとんど売ってしまい、米国債券がPFに占める割合が増えています。もちろん、利下げ局面では債券価格が上昇しますので、そのタイミングで売る予定です。これから1年ほどかけて利下げへと進んでいくと思いますので、債券を売って、得たドルを景気後退期の株式に投資しようと考えています。

GDPは、景気遅行指数ですので今の景気の予測の答え合わせを行えます。今回のGDP改定値からも、景気は確実に悪化しているため、今後のFRBの金融政策に注目です。

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2024年5月 米PCEデフレーターが発表!

GDP改定値の個人消費が落ち込んでいたことから、現在も個人消費が伸び悩んでいるのではないか?と想像できます。

そこで、今のアメリカ個人消費を表す経済指標が発表されました。こちらの推移を見て、今後も個人が現在の物価水準で消費を継続できるのか?を確認していきます。

個人消費支出(Personal Consumption Expenditures, PCE):これは、アメリカの世帯や個人が購入する商品やサービスにかかる支出を示す指標です。これには食料、住居費、医療費、交通費、エンターテインメント費などが含まれます。個人消費支出はアメリカのGDP(国内総生産)の大部分を占めるため、その変動は経済全体の動向に大きな影響を与えます。
PCEデフレーター:個人消費支出の物価変動を示すための指標で、消費者が支出する商品やサービスの価格変動を追跡します。これにより、消費者物価の変動を測定し、インフレーション(物価上昇)やデフレーション(物価下落)の兆候を検出するのに役立ちます。

前年比今回(4月)市場予想(4月)前回(3月)
PCE+2.7%+2.7%+2.7%
コアPCE+2.8%+2.8%+2.8%

結果は、見事な横ばいとなっております。これは、企業側がこれ以上価格を下げての商品販売が行えないため、今の高い物価水準のままで商売を継続しなければいけないという意味でもあります。

そして、その影響は一般消費者へと影響が出ており、その結果が上記のGDP改定値の発表でもあった通り、個人消費の下落へと繋がっています。

上記のグラフは、赤色が個人消費支出のチャートで青色が個人の貯蓄率を表しているグラフとなります。過去のリセッション時期を見てみると、赤色が下落し、青色が上昇することでリセッションに入っています。個人の消費が一時的に落ち込むことで、貯蓄率が上昇し、市場にお金が出回らなくなっているということですね。日本も過去30年は、そのような状況でした。

ただ、今回は少し様子が変です。赤色が下落しているにも関わらず、青色の貯蓄率が上昇してきません。

これは、個人が消費を抑えても、まだまだ物価水準が高すぎるため貯蓄を切り崩して生活するしかない状況に追い込まれているということです。

こうなってくると、一刻も早く経済を回復させるために金利を下げたり減税したりと、景気対策が求められます。ただ、アメリカのインフレ率は未だに高い水準を維持しているため、金利を下げられない状況になっています。

市場の金利予想も、年内の利下げは一回だけの予想となっており、このまま個人を犠牲にしてでも高い金利を維持し続けるかもしれません。このままでは、アメリカの一般人の生活が立ち行かなくなり、富裕層だけが生き残る国になっていくことになります。

このまま突き進んでいけば、間違いなくアメリカはリセッションに陥ることになるでしょう。

景気後退期に入る前提で投資を継続し、適切なリスクを取りつつリターンを狙っていくには面白いタイミングに差し掛かっているかもしれません。今後も経済指標を確認しつつ、景気の動向を探りたいと思います。

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