【日米の経済動向】アメリカ経済はリセッション寸前、日本経済はなぜ利上げ?

週刊投資経済

こんにちは、くろいずです。

毎週土曜日に更新する、投資に関わる経済ニュースをお届けします。
1週間内に発表された経済指標などを定期的にウォッチし、今後の経済動向について解説します。

※投資を推奨する記事ではございません。投資は自己責任・自己判断のもとよろしくお願いします。

2025年12月15日~2025年12月19日の経済情報

2025年12月 雇用統計が発表!

  1. 労働力参加率(Labor Force Participation Rate): 労働力参加率は、ある国や地域において、労働可能な人々が労働市場に参加している割合を示します。就業者や求職者の人数を労働力として計算し、総人口に対する割合として表されます。
  2. 失業率(Unemployment Rate): 失業率は、労働市場において仕事を求めているが見つからず、かつ積極的に求職している人々の割合を示します。一般的に、失業率が低くなると、労働市場が健全であることを示し、経済の好調を反映する指標とされています。
  3. 雇用創出数(Employment Creation): 雇用創出数は、ある期間(通常は月次または四半期)における新たに創出された雇用の数を示します。これは、新たな雇用契約や雇用拡大によって生まれた雇用機会の数を指します。
雇用統計今回(11月)市場予想(11月)前回(10月)
雇用者数6.4万人5.0万人発表無し
失業率4.6%4.5%発表無し
平均時給3.5%3.6%発表無し
労働参加率62.5%

アメリカ政府閉鎖が終わってから初の雇用統計の発表となります。10月分は政府機関が閉鎖していたこともあり、発表はしないようです。今回は11月分の発表ですが、注目すべきは失業率と平均時給でしょう。

失業率に関しては、やはりじわじわと上昇傾向にあります。過去のデータを見ても失業率が上昇して、政策金利が引き下げられるときにリセッションが発生していることを考えると、今のアメリカはリセッション発生前と同じ状況に置かれています。

上記のチャートは、青が失業率で緑が政策金利を表しています。1990年代ごろからの動きがはっきりとわかりやすいのですが、いつの時代を見ても青が上昇し、緑が下落するときにグレーで塗られたリセッション期間へと突入しています。そして、今のアメリカは失業率が上昇し、政策金利を引き下げ始めているので、過去のデータをなぞるとリセッションの前兆がすでに出ています。歴史は繰り返すと言いますが、今回もリセッションへと陥ることになるのでしょうか?少しでもポートフォリオを安全資産へとシフトしたほうが良い時期なのではないかと思います。

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2025年12月 米CPIが発表!

CPIとは、一定の基準年度を基準として、その年度における一般消費者の物価水準を100とし、それ以降の年度での物価の変動を比較します。具体的には、一定のカテゴリー(食料品、住宅、交通費など)の代表的な商品とサービスの価格を調査し、それらの重み付けを行って指数を算出します。
CPIは通常、インフレーション(物価上昇)やデフレーション(物価下落)の指標として使用されます。インフレ率は、異なる期間でのCPIの変動を通じて計算されます。

前年比今回(11月)市場予想(11月)前回(10月)
CPI+2.7%+3.1%発表無し
コアCPI+2.6%+3.0%発表無し

政策金利の引き下げへと方向転換し始めたアメリカですが、インフレ率の高さが懸念されており、金利を引き下げるべきではないとの意見が多数ありました。しかし、今回のCPIの発表を見ると、インフレ率が著しく低下し始めており、このまま2%を切る方向で下落が止まらないのであれば、今の政策金利引き下げは正当化されます。

ただ、インフレ率が低下し始め、失業率が上昇している現状を見ると、本当にアメリカ経済は崩壊しかかっているのだろうと想像できます。このデータを見ると、今のアメリカ国民は仕事が無くて物が買えないという状況にあるのだろうと思います。このような国でも、AI関連だけは著しく成長しているので、市中に出回っているお金がそちらに向けられていて、一般国民の所得には振り分けられていないのでしょうね。明らかに歪な状況にあると思われます。

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2025年12月 日本のCPIが発表!

CPIとは、一定の基準年度を基準として、その年度における一般消費者の物価水準を100とし、それ以降の年度での物価の変動を比較します。具体的には、一定のカテゴリー(食料品、住宅、交通費など)の代表的な商品とサービスの価格を調査し、それらの重み付けを行って指数を算出します。
CPIは通常、インフレーション(物価上昇)やデフレーション(物価下落)の指標として使用されます。インフレ率は、異なる期間でのCPIの変動を通じて計算されます。

前年同月比今回(11月)市場予想(11月)前回(10月)
CPI+2.9%+2.9%+3.0%
コアCPI
(生鮮食品を除く)
+3.0%+3.0%+3.0%
コアコアCPI
(生鮮食品及びエネルギーを除く)
+3.0%+3.0%+3.1%
米国型コアCPI
(食品及びエネルギーを除く)
+1.6%+1.3%

日本のCPIの発表ですが、アメリカと同じく下落傾向にあります。そもそもCPIの内訳としては食料品の価格高騰(主にお米)が著しいだけであり、食品を除く米国型コアCPIでは1.6%しかありません。このような状況ではヘッドラインのCPIを2%に近づけるために政策金利を引き上げるのではなく、食料品に対して重点的に補助金を入れ、構造改革を行うべきでしょう。

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日銀の金融政策決定会合が開催!

結果は、25bpの利上げで政策金利は0.75%となりました。

上記の日本CPIで述べましたが、今は金利を引き上げる時ではありません。なぜなら、食料品の価格が高騰しているだけで、好景気が発生しているとはいえないからです。

おそらく日銀としては、今後の賃上げ状況や円安などを鑑みて利上げへと舵を切っているのだろうと思いますが、いつも日銀は先回りして金融政策を動かします。アメリカの場合は、意図的に後手後手で金融政策を決定するビハインド・ザ・カーブですが、日本は先回りして予想して金融政策を決定するアヘッド・オブ・ザ・カーブです。なので、日本ではアメリカのようにインフレ率が7%まで上昇するような事態には、まず陥らないでしょう。

↓過去に紹介した記事

【マイナス金利解除】日銀とFRBの物価上昇に対する金融政策の違い
2024年3月の日銀金融政策決定会合では、イールドカーブ・コントロールとマイナス金利の解除が決定されました。この方向転換は大きなリスクを伴いますが、現在の経済状況からの判断とされています。日銀総裁の発言では、物価上昇が持続的に進む見通しである一方で、緩和的な金融環境の継続が必要とされています。 同時に、アメリカのFOMCでは金利の据え置きが決定されました。これは、今後の経済動向を注視するためのものとみられます。アメリカの金融政策では、インフレ率が目標水準に達するまで利下げが続く可能性が高く、その後も慎重な対応が求められます。 一方、日本のCPIは市場予想よりもやや弱い結果となりましたが、物価上昇は続いています。日銀は利上げへの舵取りを始めており、今後の経済動向に注目が集まっています。金融政策のタイミングに関する議論は続きますが、適切なバランスを保つことが重要です。 2024年3月、日本のCPIが発表されました。前回の記事では、GDPがマイナスになりながらも物価が上昇する「スタグフレーション」の状況に言及されました。日銀の会合ではマイナス金利解除に向けた動きがあり、これが利上げへの舵取りと見られます。CPIの結果は市場予想よりも若干弱かったものの、物価上昇の兆しがあります。日銀はインフレ目標達成へ向けて利上げを検討しており、円安から円高への転換も模索されています。今後の金融政策の適切なタイミングには疑問が残りますが、マイナス金利解除はポジティブな動きとして捉えられます。

植田日銀総裁の発言からも、今後の予想をもとに金利を引き上げるように動いていることがわかります。

植田日銀総裁の主な発言

  • 来年もしっかりとした賃上げとなる可能性が高い。
  • 実質金利は大幅なマイナス。
  • 円安が輸入価格に上向きの影響を与え、場合によっては基調物価にも影響する可能性がある。

この辺りは、状況によって先手で動くのか、後手で動くのかを変えたほうが良いでしょう。今の世界情勢を見ると、アメリカが利下げ方向に進んでいるので、日本が無理に利上げしなくてもドル円は円高へと収束していくはずです。なので、無理に利上げをして日本経済にダメージを与えなくても良いだろうと思います。

そして、来年も賃上げが行われる可能性が高いとか、円安が基調物価にも影響する可能性があるとか、確定した情報をもとに政策を進めていないので、なんとでも言えてしまいます。利上げをしたければその理由を後付けで考えれば、このような答弁になります。もちろん、利下げをしたければ、その理由を後付けで考えることができます。つまり何が言いたいかというと、経済の動向は完全に予想できないにもかかわらず、自分たちの予想をもとに金融政策を動かしているところに違和感を覚えます。そういう意味でいうと、後手の対応となってしまいますが、確定したデータが出てから利上げや利下げを行うほうが理にかなっていると言えます。先手先手で金融政策を決定する場合、日本経済を動かしたい人の意向に沿ってなんとでも言えますからね。ただ、今の日本経済を動かしたい人は、日本の金利を引き上げたいらしいので、今後の日本経済は停滞する可能性が高いだろうと思います。

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