今回紹介する書籍は、「きみのお金は誰のため」です。
ゴールドマンサックスにて、金利・為替トレーダーを17年間勤められた田内学さんが書かれたものです。世界有数の金融機関に勤められていただけあって、お金の仕組みがわかりやすいように俯瞰した視点で解説されています。また、ただのお金についての解説というわけではなく、登場人物が対話形式で話が進んでいき、解説されているので中高生でも読みやすい内容になっていました。
現在の日本では、新NISAなどの制度も始まり、お金を増やしたり投資に興味を持たれた方も多いかと思います。しかし、お金の本質的な意味を考えると、世の中お金が全てのように思われがちな現代社会の間違いを理解できます。
そんな著書を少しだけ要約します。
きみのお金は誰のため:要約
お金自体には価値がない
人間の手によって作り出されたお金は、本来無価値なものです。これは、よく目にする話ですが、必要のないお金を人々に必要とさせる手段があります。
それが、税です。
日本という国に住むには、税金を日本円で払う必要があります。そのため、日本に住んでいる納税者であれば、日本円を調達する必要があります。こうして、必要のなかったお金が必ず必要な状態を作り出し、そのお金を得るために人々は働くことで価値を創造します。
お金の力は選ぶだけの力
お金を人より多く持っている人は、力があるように思えます。実際に、世の中ではお金が必要な状態を作り出され、お金がなければ何もできないと思うこともあるでしょう。
しかし、お金にある力とは選ぶ力です。
お金は使うことで価値を発揮しますが、その時に何を選ぶか?というところに力があります。
例えば、スマホを買うときにアップル製品のiPhoneを買うのか、それともGoogleのPixelを買うのか、それともSONYのXperiaを買うのか、どれを買うか選ぶ力があるということです。そして、選んだ先にはその製品を作っている会社やその会社に勤めている人々にお金が運ばれます。
つまり、お金とは製品であったり、便利さであったり、食事であったりを選び、その先で働いている人々に運ばれるためのものです。
そして、ここで大切になってくるのが内側と外側の話です。
先ほどのスマホを例に挙げると、内側を日本、外側を日本以外の海外とすると、iPhoneやPixelは海外企業が製品を製造しているため外側となります。ですが、Xperiaは日本のSONYが製品を製造しているため内側となります。
この時に、内側でお金を回すのか、それとも外側にお金を運ぶのか、人々の選択によってお金がどこに滞留するのかが変わってきます。そして、お金がより多く滞留するところが、より強い選ぶ力を持つことになります。
働く人がいなくなれば、お金の価値はなくなる
お金の力とは、選ぶ力です。逆に言うと、選ぶことができない状態になってしまえば、お金の選ぶ力は失われ、価値はなくなります。これは、世の中に働く人がいて、その人々が製品を製造したり、サービスを提供したり、食事を作ったり、することで選ぶことができるということです。
つまり、働く人がいなければお金に価値はないということです。
考えてみれば当たり前のことなのですが、例えば国が国民一人一人に10億円を配ったとしましょう。そして、国民は「これで一生遊んで暮らせる!」と思い、仕事をやめてしまえば、一体どこでお金を使うことができのでしょうか?
日本で新NISA制度が立ちあがり、投資にお金を回そうとする動き自体は良いと思います。しかし、投資立国を目指すとか1億総投資家のようなことになってしまえば、働き手がいなくなります。ただでさえ、少子化によって日本での働き手は不足し始めている状況です。
何が言いたいかと言えば、働かなければお金が回らず外側の手を借りることになってしまいます。そして、外側に頼りすぎると、過去の歴史では国が破綻してしまいます。なぜなら、お金が外側に滞留し、内側の日本ではお金が滞留せず、選ぶ力が弱くなっていくからです。
このような未来があるので、人々が働くことでお金の価値が高まり、選ぶ力が強くなれば国としても強くなっていくでしょう。働くことが自国のためになっていることを、人々が理解できれば真面目な日本人たちが前向きになれると思います。
まとめ
これまで、投資ブログとして投資や経済の情報を記事にしてきましたが、お金を俯瞰した視点から見ることで本来もっている価値を認識することができました。そして、自分も労働者として自国のお金の価値を高める社会活動に参加できていることを認識でき、日々の仕事が生み出しているサービスが社会に貢献できていることを認識しました。
本書では、わかりやすくまとめられているので、興味がある方はぜひ購入を検討してみてください。
これからは、お金の使い方やどこにお金が流れていくのか?を考えながら日々の生活を過ごしたいと思います。日々の労働に誇りを持ちつつ、日本が豊かになれるように貢献できれば、生きている意味をより深く認識できるような気がしました。
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