こんにちは、くろいずです。
毎週土曜日に更新する、投資に関わる経済ニュースをお届けします。
1週間内に発表された経済指標などを定期的にウォッチし、今後の経済動向について解説します。
※投資を推奨する記事ではございません。投資は自己責任・自己判断のもとよろしくお願いします。
2025年4月28日~2025年5月2日の経済情報
2025年4月 PCEデフレーターが発表!
個人消費支出(Personal Consumption Expenditures, PCE):これは、アメリカの世帯や個人が購入する商品やサービスにかかる支出を示す指標です。これには食料、住居費、医療費、交通費、エンターテインメント費などが含まれます。個人消費支出はアメリカのGDP(国内総生産)の大部分を占めるため、その変動は経済全体の動向に大きな影響を与えます。
PCEデフレーター:個人消費支出の物価変動を示すための指標で、消費者が支出する商品やサービスの価格変動を追跡します。これにより、消費者物価の変動を測定し、インフレーション(物価上昇)やデフレーション(物価下落)の兆候を検出するのに役立ちます。
前年比 | 今回(3月) | 市場予想(3月) | 前回(2月) |
---|---|---|---|
PCE | +2.3% | +2.2% | +2.7% |
コアPCE | +2.6% | +2.6% | +3.0% |
結果を見ると、前回から少し落ち込んだように思います。消費者としても、これまでの高金利政策による景気悪化の影響や、激しい物価上昇についていけなくなってきたころかと思われます。

上記は、クレジットカードを含む消費者ローンの延滞率を表したチャートです。ここ直近の数年間で上昇していることがわかります。そして、過去のデータを見るとクレジットカードや消費者ローンの延滞率が急上昇したタイミングで、景気後退へと陥っています。

さらに上記のチャートに緑色のPCEデフレーターを追加しました。青色が上昇したタイミングで、緑色のPCEデフレーターが落ちてきているのがわかります。それだけ、アメリカでは借金をしてでも物を買う文化になっていますが、その借金が行き過ぎて延滞し始めると物が買えなくなってきます。今は、まさにその状況に直面しているのだろうと思います。
ここから追い打ちをかけるようにトランプ関税が入ってくると、消費者はさらに厳しい状況に追いやられます。そうなってくると、いよいよお金の流れがストップして景気後退からのリセッションへと進んでいくことになるでしょう。今後もCPI以上に、PCEデフレーターの結果は要注目です。
2025年5月 雇用統計が発表!
- 労働力参加率(Labor Force Participation Rate): 労働力参加率は、ある国や地域において、労働可能な人々が労働市場に参加している割合を示します。就業者や求職者の人数を労働力として計算し、総人口に対する割合として表されます。
- 失業率(Unemployment Rate): 失業率は、労働市場において仕事を求めているが見つからず、かつ積極的に求職している人々の割合を示します。一般的に、失業率が低くなると、労働市場が健全であることを示し、経済の好調を反映する指標とされています。
- 雇用創出数(Employment Creation): 雇用創出数は、ある期間(通常は月次または四半期)における新たに創出された雇用の数を示します。これは、新たな雇用契約や雇用拡大によって生まれた雇用機会の数を指します。
雇用統計 | 今回(4月) | 市場予想(4月) | 前回(3月) |
---|---|---|---|
雇用者数 | 17.7万人 | 13.8万人 | 18.5万人 修正前:22.8万人 |
失業率 | 4.2% | 4.2% | 4.2% |
平均時給 | 3.8% | 3.9% | 3.8% |
労働参加率 | 62.6% | – | 62.5% |
今回の雇用統計も前回に引き続き、市場予想を大きく上回る結果となりました。しかし、前回の雇用統計に関して、雇用者数の下方修正の大きさが気になります。今回の結果も大きく下方修正されるのであれば、雇用統計の速報値としてはあまり意味をなさない可能性が高いです。

ただ、市場としては発表された数字を見て判断するしかないので、今回の雇用統計の強さであれば政策金利を引き下げる方向には簡単に動きそうにありません。市場の予想としては、7月に政策金利の引き下げが行われるだろうとされており、それまでに何らかの動きがあれば要注意です。
経済指標と関係のないところで政策金利が動くとすれば、それはトランプ政権の影響でしょう。トランプ大統領は、以前からFRBパウエル議長に対して政策金利を引き下げるようにと発言していました。今のところパウエル議長としては政策金利を引き下げるつもりはなさそうですし、おそらくアメリカがリセッションに入った時に、政策金利を引き下げる幅を残しておくためにも今は引き下げないでおこうと考えているようです。
いずれにせよ、アメリカの方向性としてはリセッションへと向かっていますし、それにそなえてFRBとしては金利を下げる幅を残しておこうと考えているわけです。メインシナリオが「アメリカはリセッションに陥る」状態になっているので、今は楽観的に投資をするのは危険かなと思います。トランプ関税の行方も含めて、アメリカ経済の進んでいる方向を自分の頭で整理しておくのが大事です。
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