【米国株の時代は終わり?】民間企業の活気がなく、政府部門の雇用でなんとか保っているアメリカ経済

週刊投資経済

こんにちは、くろいずです。

毎週土曜日に更新する、投資に関わる経済ニュースをお届けします。
1週間内に発表された経済指標などを定期的にウォッチし、今後の経済動向について解説します。

※投資を推奨する記事ではございません。投資は自己責任・自己判断のもとよろしくお願いします。

2025年6月30日~2025年7月4日の経済情報

2025年7月 ISM景気指数が発表!

  1. 製造業景況指数(Manufacturing Purchasing Managers’ Index, PMI): 製造業の生産活動、新規受注、在庫、雇用などの項目について調査し、それらの指標を総合的に評価したものです。PMIは、50を基準として、50以上で景況の改善を示し、50以下で景況の悪化を示します。
  2. 非製造業景況指数(Non-Manufacturing Purchasing Managers’ Index, NMI): 非製造業(サービス業、建設業など)の新規受注、ビジネス活動、雇用、在庫などの項目について調査し、それらの指標を総合的に評価したものです。NMIも、50を基準として、50以上で景況の改善を示し、50以下で景況の悪化を示します。
ISM景気指数今回(6月)市場予想(6月)前回(5月)
製造業49.048.848.5
非製造業50.850.849.9
製造業内訳今回(6月)前回(5月)
新規受注46.447.6
雇用45.046.8
非製造業内訳今回(6月)前回(5月)
事業活動・生産54.250.0
新規受注51.346.4
雇用47.250.7

今回のISM景気指数の結果では、非製造業がギリギリ50を上回りましたが、経済が持続的に拡大していけるような局面ではないでしょう。内訳を見てみると、製造業も非製造業も雇用の指数が50を下回っており、前回の結果よりも両指数とも悪い値になっています。やはり、実体経済の冷え込みが深刻になっているのだろうと予想できます。

ISM景気指数が直接何かに影響するかと言われれば、そこまで重大な指数ではないので経済のバランスを確認するためぐらいに見ておくとよいのですが、雇用の値がここまで悪いとなればFOMCの利下げ局面を早める可能性があります。ただし、雇用統計の発表次第なので、そちらの方も見ていきましょう。

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2025年7月 雇用統計が発表!

  1. 労働力参加率(Labor Force Participation Rate): 労働力参加率は、ある国や地域において、労働可能な人々が労働市場に参加している割合を示します。就業者や求職者の人数を労働力として計算し、総人口に対する割合として表されます。
  2. 失業率(Unemployment Rate): 失業率は、労働市場において仕事を求めているが見つからず、かつ積極的に求職している人々の割合を示します。一般的に、失業率が低くなると、労働市場が健全であることを示し、経済の好調を反映する指標とされています。
  3. 雇用創出数(Employment Creation): 雇用創出数は、ある期間(通常は月次または四半期)における新たに創出された雇用の数を示します。これは、新たな雇用契約や雇用拡大によって生まれた雇用機会の数を指します。
雇用統計今回(6月)市場予想(6月)前回(5月)
雇用者数14.7万人10.6万人14.4万人
修正前:13.9万人
失業率4.1%4.3%4.2%
平均時給3.7%3.8%3.8%
労働参加率62.3%62.4%

先ほどのISM景気指数の内訳では、雇用の値が著しく悪化しているにもかかわらず、雇用統計の発表では雇用者数が市場予想を大幅に上回り、失業率が低下しているという不思議な結果になりました。この理由としては、政府部門での雇用増加が影響している可能性が高いです。政府部門の雇用とは、日本でいうところの公務員です。公務員の雇用増加は、ISM景気指数にはカウントされないので、雇用統計の発表との間にギャップが生じます。それほど、今のアメリカ経済は民間の景気が悪いのだろうと予想できます。

そして、雇用者数は増えているのですが平均時給が低下しているので、おそらく以前よりも低賃金で安く働く人材が増えたのだろうと推測できます。そうなると、いよいよインフレが上昇傾向にあり、賃金が低下するというスタグフレーションへと進んだのだろうと、経済指標から読み解けます。

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あとは、賃金の低下が進めば、購買力が失われていくのでインフレも鎮静化することでしょう。ただし、アメリカという国は借金で経済成長している国なので、個人の借り入れも躊躇なく行います。その結果、今のアメリカ国民はクレジットカードの延滞率が上昇し、これ以上借り入れができないような人が増えています。そうなると、賃金は減っていくのに借金で埋め合わせもできない、という強制デフレのような状況に陥ります。このような状況で、アメリカ経済が力強くこれまでのような成長を見せることは難しいでしょう。ただし、AIのような一部の分野では極端に成長することが予想されます。アメリカとは、そういう国です。

なので、今後はアメリカ株へ投資するとすればAI分野が理にかなっていると思いますし、それ以外の資金は日本株やヨーロッパなどに向けて分散投資をしておくことが良いでしょう。これまでのような米国株一強の状態が続くような経済状況ではなくなっているように感じます。今後も分散投資を心がけながら、投資から退場しないように愚直に積立投資を継続していきましょう。

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