【騙し騙しの経済政策】アメリカ経済が、いよいよ究極の選択に迫られている理由

週刊投資経済
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こんにちは、くろいずです。

毎週土曜日に更新する、投資に関わる経済ニュースをお届けします。
1週間内に発表された経済指標などを定期的にウォッチし、今後の経済動向について解説します。

※投資を推奨する記事ではございません。投資は自己責任・自己判断のもとよろしくお願いします。

2024年10月28日~2024年11月1日の経済情報

2024年7-9月期 米GDP速報値が発表!

GDP速報値(Preliminary GDP)は、国の国内総生産(Gross Domestic Product, GDP)の初期の見積もりを示す経済指標です。通常、経済統計機関はGDPの確定版を発表するまでに数回の推計を行います。速報値は、これらの推計の最初の段階であり、国の経済活動全体の初期の評価を提供します。

  1. 早期の情報提供: GDP速報値は、経済の状態について最初に情報を提供するため、政策立案者や投資家、企業などが迅速に経済の動向を把握するのに役立ちます。
  2. 修正の可能性: GDP速報値は後に修正されることがあり、最終的な確定版が発表されるまでに数回の修正が行われることが一般的です。これは、新しい情報が入手可能になったり、過去のデータが修正されたりするためです。
  3. 市場への影響: GDP速報値が予想を上回ったり下回ったりすると、金融市場に影響を与えることがあります。市場参加者は速報値を注視し、将来の経済の方向性を考慮して取引や投資判断を行います。
  4. 経済政策の調整: 中央銀行や政府はGDP速報値を考慮して、金融政策や経済政策を調整することがあります。特に景気の動向を判断する上で、経済全体の健康状態を示すGDPの情報は重要です。
速報値今回市場予想前回
GDP+2.8%+3.0%+3.0%

高金利が続いているアメリカ経済ですが、GDPは相変わらず堅調に推移しているようです。内訳を確認すると個人消費が伸びており、消費者の消費意欲が落ちていないことが大きな要因のようです。これまでのコアインフレ率を見ても3%ほどで推移しており、生活をするためのコストがひたすら上昇し続けています。余裕のある家計はインフレについていけるが、余裕のない家計はインフレに追い付かないような状況だと推測します。

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GDP成長に隠れた資産格差

上記のグラフは青線が米国民の貯蓄額となっており、赤線が貯蓄率となっています。青線の貯蓄額が上昇しているのに対して、赤線の貯蓄率が減少していることがわかります。つまり、一部の国民にお金が集中し、その他大勢にお金が出回っていない状況です。その傾向は、リーマンショック以降に顕著に表れ、その金額は上昇する一方です。この状況で、GDPの成長率が堅調であり、コアインフレ率が3%を維持しているとなると、一部のお金持ちは問題なく生活し、経済が堅調に成長していることで自分の資産も伸びていることでしょうが、大勢の一般国民は物価上昇による生活苦を強いられていることでしょう。

このままインフレ率が上昇することで、より一層の資産格差が開き、アメリカから中間所得者が消え去るかもしれません。そうなると、今の資産額が上位の中でも下位に分類される人たちが、次の中間層となり高インフレの被害を受けることになるでしょう。このような経済が長続きするとは考えづらいのですが、いつになればアメリカ金融の化けの皮が剝がれるのでしょうか。

ただ、現状は順調に成長しているアメリカ経済の恩恵を、株式で享受しておきましょう。日本で暮らしている日本人からすれば、いつでも売却できる資産ですから。

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2024年10月 PCEデフレーターが発表!

個人消費支出(Personal Consumption Expenditures, PCE):これは、アメリカの世帯や個人が購入する商品やサービスにかかる支出を示す指標です。これには食料、住居費、医療費、交通費、エンターテインメント費などが含まれます。個人消費支出はアメリカのGDP(国内総生産)の大部分を占めるため、その変動は経済全体の動向に大きな影響を与えます。
PCEデフレーター:個人消費支出の物価変動を示すための指標で、消費者が支出する商品やサービスの価格変動を追跡します。これにより、消費者物価の変動を測定し、インフレーション(物価上昇)やデフレーション(物価下落)の兆候を検出するのに役立ちます。

前年比今回(10月)市場予想(10月)前回(9月)
PCE+2.1%+2.1%+2.3%
コアPCE+2.7%+2.6%+2.7%

失業率が上昇し、貯蓄率が低下しているのにも関わらず、個人の消費している物価は上昇しているようです。これがGDPの底堅い下支えとなり、今回のGDPの速報値にも表れています。これだけ経済が堅調なのだから、ハードランディングは来ないと市場参加者は考えていますが、果たして本当にその通りになるのでしょうか?

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PCEと失業率の関係

1970年代のインフレ退治以降の金融危機では、必ず青線の失業率が上昇し、赤色のコアPCEが減少しています。これは、単純な話で失業者は消費が出来ずに控えて備えるからです。つまり、現在のPCEデフレーターは数字だけを見ると堅調に推移しているように見えますが、2023年の高金利政策によって高インフレを押さえつけられただけではなく、失業者も増加して消費が出来なくなってきている層が一定数いることも要因として考えられます。

これから失業率は増加の一途を辿ると思いますが、それと同時にアメリカ経済のインフレ率も減少していくでしょう。FRBはどちらかの選択を迫られています。利下げを行い失業率の減少を食い止めるがインフレ率が上昇してしまうシナリオと、利下げを行わず失業率の上昇とインフレ率を抑えるシナリオのどちらかです。

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2024年11月 雇用統計が発表!

  1. 労働力参加率(Labor Force Participation Rate): 労働力参加率は、ある国や地域において、労働可能な人々が労働市場に参加している割合を示します。就業者や求職者の人数を労働力として計算し、総人口に対する割合として表されます。
  2. 失業率(Unemployment Rate): 失業率は、労働市場において仕事を求めているが見つからず、かつ積極的に求職している人々の割合を示します。一般的に、失業率が低くなると、労働市場が健全であることを示し、経済の好調を反映する指標とされています。
  3. 雇用創出数(Employment Creation): 雇用創出数は、ある期間(通常は月次または四半期)における新たに創出された雇用の数を示します。これは、新たな雇用契約や雇用拡大によって生まれた雇用機会の数を指します。
雇用統計今回(10月)市場予想(10月)前回(9月)
雇用者数1.2万人11.3万人22.3万人
修正前:25.4万人
失業率4.1%4.1%4.1%
平均時給4.0%4.0%3.9%
労働参加率62.6%62.7%

前回の雇用統計では、市場予想に対して大きく上振れていましたが、今回の雇用統計では大きく下振れています。そして、相変わらず前回の雇用統計の発表から下方修正が入り、25.4万人→22.3万人と雇用者数が減っています。これほど数値が大きく上振れたり下振れたり、毎回の発表から下方修正が入ったりとデータの改ざんと思われても仕方ないぐらいの数値のいじり方です。それでも、市場は雇用統計の発表を信じて動かされているので、実体経済と雇用統計の間に乖離があればあるほど、化けの皮が剝がれた時の暴落は凄まじいことになるでしょう。

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今後の経済の中心地は日本

雇用統計発表後、市場の金利予想は次回のFOMCにて25bpの利下げが行われるとの予想がほぼ100%となりました。前回のFOMCにて50bpの利下げを行いましたが、今回は25bpの利下げになるそうです。そのペースでの利下げで、果たして米国経済が回復するのでしょうか?そして、利下げを行うことで現状のインフレに拍車がかかり、またインフレ率が5%や6%まで上昇する懸念はないのでしょうか?

今のアメリカ経済は、どちらに動いてもどちらが立たずというスタグフレーション状態に陥っています。これが、一部の資産家に資産が集中した資本主義社会の成れの果てです。ある意味、中国やロシアのような独裁国家に近い状態になっています。資本主義は、ある程度平等で広く資産が行き渡る状態が維持できないと崩壊します。そういう意味では、日本のような突出したお金持ちは少ないけど、経済全体としては他の国々より豊かという国が、今後の中心となっていくのではないでしょうか。

これからの世界経済を予想すると、日本に大きなアドバンテージがあると考えられます。そして、日本の生産者人口一人当たりのGDPの伸びが、世界トップクラスであることを考えると、やはり日本株への投資が高パフォーマンスとなるでしょう。今後も日本株を中心としたポートフォリオを運用していきます。

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