こんにちは、くろいずです。
毎週土曜日に更新する、投資に関わる経済ニュースをお届けします。
1週間内に発表された経済指標などを定期的にウォッチし、今後の経済動向について解説します。
※投資を推奨する記事ではございません。投資は自己責任・自己判断のもとよろしくお願いします。
2024年8月12日~2024年8月16日の経済情報
2024年8月 米CPIが発表!
CPIとは、一定の基準年度を基準として、その年度における一般消費者の物価水準を100とし、それ以降の年度での物価の変動を比較します。具体的には、一定のカテゴリー(食料品、住宅、交通費など)の代表的な商品とサービスの価格を調査し、それらの重み付けを行って指数を算出します。
CPIは通常、インフレーション(物価上昇)やデフレーション(物価下落)の指標として使用されます。インフレ率は、異なる期間でのCPIの変動を通じて計算されます。
前年比 | 今回(7月) | 市場予想(7月) | 前回(6月) |
---|---|---|---|
CPI | +2.9% | +3.0% | +3.0% |
コアCPI | +3.2% | +3.2% | +3.3% |
ここ数回のCPIで、アメリカのインフレ率も予想と同じか下回る結果が続いています。CPIがこの調子で下がり続ければ、インフレが鈍化したと判断され、利下げを行うことのハードルが下がります。ただし、アメリカの経済はチグハグな状況が続いており、雇用統計はすでに利下げを行わなければいけない状況なのですが、ISM景気指数やPPI(普段取り上げていない指標)に関しては、まだまだ強い状況です。
※せっかくなので、PPI(小売売上高)の発表もありましたので、紹介しておきます。
前年比 | 今回(7月) | 市場予想(7月) | 前回(6月) |
---|---|---|---|
総合 | +1.0% | +0.3% | -0.2% |
PPIとは、簡単にまとめると小売り・サービス業の売り上げを集計した経済指標です。つまり、個人の消費者がどの程度、景気の動向に左右されているのか?を測ることができます。
今週はCPIとPPIの発表が主な経済指標でしたが、CPIは弱含みつつあるのにも関わらず、PPIは市場予想を大きく上回りました。こういったチグハグな状況が続くと、アメリカの経済はインフレが続いて強い状態なのか?それとも、早く利下げを行って経済を回復させないといけない状態なのか?がわかりません。
ただし、当ブログでは以前からお伝えしているように、一番重要視している指標は失業率です。
経済活動のすべての源泉は、やはり雇用にあります。雇用が出来なければ製品を製造したり、食料を生産したりといった生産活動が維持できなくなります。そして、失業者が増えると個人消費の購買力が低下し、いずれ物を買うことが出来なくなります。
この辺りは、「きみのお金は誰のため」の書籍を読んで、より一層理解が深まりました。興味がある人は、ぜひ要約した以下の記事をご覧ください。
そして、失業率が上昇している現在のアメリカ経済では、おそらく利下げが必要な状況にあると思われます。ただし、今回のCPIであったり、前回のISM非製造業指数であったり、利下げを行うための口実としては強すぎる経済指標が発表されていることも事実です。
このまま失業率の上昇が止まらず、慌てて利下げを行う未来が見えているので、今は日本円でのキャッシュ待機が有利な状況だと思います。慌てずにじっくりとチャンスを待ちましょう。
2024年4-6月期 日本のGDP・速報値が発表!
GDP速報値(Preliminary GDP)は、国の国内総生産(Gross Domestic Product, GDP)の初期の見積もりを示す経済指標です。通常、経済統計機関はGDPの確定版を発表するまでに数回の推計を行います。速報値は、これらの推計の最初の段階であり、国の経済活動全体の初期の評価を提供します。
- 早期の情報提供: GDP速報値は、経済の状態について最初に情報を提供するため、政策立案者や投資家、企業などが迅速に経済の動向を把握するのに役立ちます。
- 修正の可能性: GDP速報値は後に修正されることがあり、最終的な確定版が発表されるまでに数回の修正が行われることが一般的です。これは、新しい情報が入手可能になったり、過去のデータが修正されたりするためです。
- 市場への影響: GDP速報値が予想を上回ったり下回ったりすると、金融市場に影響を与えることがあります。市場参加者は速報値を注視し、将来の経済の方向性を考慮して取引や投資判断を行います。
- 経済政策の調整: 中央銀行や政府はGDP速報値を考慮して、金融政策や経済政策を調整することがあります。特に景気の動向を判断する上で、経済全体の健康状態を示すGDPの情報は重要です。
速報値 | 今回 | 市場予想 | 前回 |
---|---|---|---|
前年同期比 | +3.1% | 2.1% | -2.3% |
前四半期比 | +0.8% | 0.6% | -0.6% |
今回のGDP速報値は、日銀のマイナス金利解除後、初の発表ですのでそちらの影響が大きいかと思われます。マイナス金利解除という実質の利上げを行ったにも関わらず、GDP速報値としての値は強い結果が出ています。
内訳 | 今回 | 市場予想 | 前回 |
---|---|---|---|
個人消費 | +1.0% | 0.5% | -0.6% |
外部需要 | -0.1% | -0.1% | -0.5% |
設備投資 | +0.9% | 0.9% | -0.4% |
内訳を見ても、個人消費が市場予想から大きく乖離しており、強い結果となっています。4月-6月期となると、新シーズンの始まりによって家具の購入や引っ越しなどの季節性もあると思いますが、それにしても少し強すぎるような気がします。
もし、このような状況が続くのであれば、日銀の利上げを継続する口実として使われる可能性もあり、デフレを脱却する局面に来ている日本経済に利上げの悪影響を与えるかもしれません。
そもそも、アメリカの景気が限界に近付いているため、日銀が利上げをしなくてもアメリカが利下げをすることで、円安は是正され、ある程度円高に進むと思われます。円安を止めたいのであれば、日銀が動くよりもアメリカの動きを待つことが、前回の金融政策決定会合では正しかったと思います。
中央銀行の独立性などと言われていますが、政府が決めることに対して反対の金融政策を行えるはずがありません。つまり、ある程度は政府の意向が反映された金融政策を行っているはずです。
この辺りの経済音痴な判断が、日本経済を沈めていくことになると思いますので、国民一人一人が金融の知識を身につけ、次回の選挙では金融に強い政治家を選ぶことが大事です。
次の選挙では、経済音痴の政治家を落とし、金融経済を理解している人を当選させるように投票しましょう。
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